漢字教育士ひろりんの書斎漢字の書架
2015.1.       掲載
2015.4.  「おまけ」追加
2015.10.    1・2加筆
2015.10.      1加筆
2016.10. 1に急告を加筆
2017.7.  1の急告を削除
同  「おまけ」を加筆修正
SPIN OFF

 古代文字等の画像データの入手方法

 このサイトのコンテンツを作成するに当たり、いろいろなサイトやメディアに大変お世話になりました。これらがなければ面白いサイトにならず、作ろうという気にもならなかったでしょう。
 以下に、私が使ってよかったと思うものをご紹介します。どれも、私がたまたま知ったものですので、他にもっと良いものもあるかもしれません。ご存知の方はご教示下さい。
※注意
 ・パソコンで、ネット接続の環境が必要です。
 ・Windows(XP以降)のInternet Explorerでしか確認していません。

 ・私が使っている限りでは、何の不都合も生じたことがありませんが、万一の場合(ウィルス感染など)は自己責任で対応願います。また、複製使用についても、3以外は基本的に使用自由のようですが(出典の明示が必要なものもあり)、同じく自己責任でお願いします。

 ・各サイトへのリンクの最終確認は、2016年10月1日に行いました。

1 甲骨文、金文、篆文 … 漢字古今字資料庫(台湾・中央研究院サイト)
 このサイトでは、2016年夏からしばらくの間、小篆以外の古代文字が見られなくなっていましたが、2017年3月に再開しました。筆者も論考を書く際によく使っていただけに、復活を喜んでいます。
 古代文字の画像を入れたいときに、大いに活用させていただいています。
 「字形」の欄に漢字一字を入力し、「甲骨文」「金文」「戦国文字(楚系、秦系など)」「小篆」のどれかを選択して、「確定送出」をクリックします。該当文字があれば(ない場合も多いですが)、右側に表示されますので、(複数表示されたときはお好みのものを)クリックします。この時に、文字でなくその下の番号をクリックすると、同種の文字の実例が(多分多数)表示されるので、お好みのものを選べます。選んでクリックすると別窓が出てきます。ここで画像のドット数(18~300)をプルダウンメニューで選択し、「umu.png(464 byte)生新圖」をクリックすると、さらに別窓が開きます。これを右クリックして、「名前を付けて画像を保存」すればOKです。
 他にも、例えば「部首」の欄に「水」と入力すれば、さんずい偏など水を部首とする字がまとまって表示されます。
 もっと高度な使い方もいろいろできそうですが、なにしろ「使用説明」も全ページが中国語(繁体字)なので、私にはよくわかりません。中国語に堪能でこのページを使いこなせるようになった方は、私にも教えてください。

注意! 台湾では繁体字が公用の字体です。「字形」欄等に漢字を入力する場合は、日本でいう「旧字体」を使ってください。
 以下はやや高度な使用法です。Windows Vista以降のOSを使用していることが前提条件です。
 旧字体がパソコンのかな漢字変換や手書き入力で表示できない場合は、JISコードで新字体・旧字体を区別していないことが原因かもしれません(例:歳、産)。その場合は、国際規格であるユニコードを使う必要があります。
 ユニコードでは、"U+4桁"のコードで表される字と、"U+5桁"の字があります。
 字形の欄にカーソルを置き、"U+4桁"の場合は、IMEパッドの「文字一覧」の中の「Unicode(基本多言語面)」から、"U+5桁"の場合は「(追加漢字面)」から、ユニコードで目的の字を選び、クリックすると入力できます(コードの該当欄に文字が無い場合=JISで規定されていない字は以下を参照)。
 最近の漢和辞典にはユニコードが載っているものも多いようですが、下記のHPを利用して調べることもできます。これを使えば、表示された文字をそのままコピーして字形の欄に張り付ければOKで、お手軽です。この方法では、JISにない字でも検索できる場合があります。
   《Unicode/CJK統合漢字》 漢字検索
 と、ここまで書いて確認したところ、「青」や「臭」は、旧字体でなく新字体でないとヒットしないことがわかりました。いろいろ調べたところ、青については現代台湾でもこの字体が正式のものとなっていること(ただし「静」は「靜」でないとダメ。表示される楷書は偏は青、旁は爭。ややこしい!)が分かりました。
 また、臭(「器」「突」「類」も同様)については、ユニコードの中の「CJK統合漢字」において、点のある字体と無い字体が包摂されているようで、「臭」と打って中国系や韓国系のフォント(MingLiU、FangSong、Batangなど)に切り替えると、点の付いた日本での旧字体が表示されます。つまり日本の新字体を入力しても、台湾では点付きの字のコードが来たととらえて、ちゃんと古代文字が表示されるようです。ちなみに、日本の旧字体は「CJK互換漢字」に含まれていますが、台湾のシステムではそこまで参照してくれないようです。
 ほかにもこういう例があるかもしれませんので、「字統」などで甲骨文や金文があることを確認したうえで、いろいろ試してみるしかないかもしれません。
 余談:「戻」という字は、旧字体の「modorukyuuji.png(700 byte)」でヒットしますが、新字体でもヒットします。点が無い戻は、日本以外では「もどる」とは別の字として存在していますので、この字の篆文は当然「もどる」の篆文ではありません。ご注意を。(拙稿「同じ形で別の漢字」参照)

2 JIS外の漢字や漢字の部品 … グリフウィキ(漢字字形自由共有サイト)
 ウィキペディアと同じ手法で、みんなで協力して多くの字形を作ってしまおうというプロジェクトです。もちろん、誰かが作ってくれたものを利用するだけでもOKです。既に「大漢和辞典」に収録の文字はほとんどが作成されているそうです。ただし、明朝体のみです。
 メインページの左隅に「検索」欄があり、ここの「手書き検索」をクリックすると、WindowsのIMEパッドのような方形が現れます。ここにマウスで書くのですが、IMEパッドほど感度がよくなく、候補の文字が現れるまで時間がかかります。注意事項もよく読んでください。候補の中に求める字があれば、それをクリックします。
kotobukiitai.png(562 byte)
見本(「寿」の異体字)
 求める字体がJIS漢字の異体字や旧字であったり、JIS漢字に近い字体である場合は、手書き検索を使わない方法をお勧めします。検索窓の中にかな漢字変換等でJIS漢字を入力して「表示」ボタンを押し、表示された「関連グリフ」の中から探すという方法です。
 ダウンロード用の画像は大中小の3種類現れます。右クリックで「名前を付けて画像を保存」します。
 
 関連字の横に、"u+4桁または5桁の英数字"が書いてあるものがあります。これがその字のユニコードです。これを使えば、JISにない字でも、上記1の方法で古代文字などを入手することができるかもしれません。

3 康煕字典(内府本) … PDF版 パーソナルメディア(株) 有料!
 康煕字典の中でも権威のある、清の王宮が発行したオリジナルです。諸橋轍次氏が「大漢和辞典」の編纂にあたって参照した「殿本」のことです。原本は東京大学東洋文化研究所所蔵。「超漢字」サイトでおなじみのパーソナルメディアがPDF版を発行しています。有料ですが、原本の貴重さを思えば安いものだと思って購入してしまいました。
 いろんな字が載っているので眺めるだけでも面白く、場所も取らないのでお手軽です。ただし、康煕字典には間違いが多いという定評(?)があり、誰にも文句は言えません。間違いを探してみるのも一興かもしれません。私もいくつか見つけました。
 康煕字典そのものの他に、字典の簡単な解説と、「目次・部首一覧」・「収録文字一覧」が付属し、これらの「一覧」から字典本体の該当文字のページにリンクするようになっています。見たい字が「何部の何画」か分かれば、簡単に検索できますが、わからなければ苦労します。
 全体が一つのPDFファイルで、1GB以上あり、WEBからダウンロードする方式なので、最初は時間がかかります。購入手続き完了から7日以内にダウンロードする必要がありますので、ご注意ください。
 また、著作権は同社にあり、購入者のみに使用・閲覧の権利があるとのことです。ダウンロードしたPDFには、購入者の名前が書きこまれていますので、コピーして他人に配ったりすると、まずいことになりそうです。
 私が購入にあたって、一字単位でwebにコピペしていいかと尋ねたところ、引用元を明記すればよいとの返事をもらいました。おかげさまで、「漢字の書架」等のコンテンツで活用させていただいております。

4 その他の古典籍 … 早稲田大学学術情報検索システム
 学内の図書館等に所蔵する書籍の貸し出しや閲覧の申請のためのシステムですが、古典籍の一部を、画像化して公開しており、ここで見ることができます。
setumonnwaseda.png(445593 byte)
説文解字(大徐本)
 「タイトル検索」等で書籍を検索し、「古典籍」と書かれたものを選ぶと、画面中央あたりに「画像情報」と表示されるものがあります(「撮影未了」と出たらハズレです)。これをクリックし、さらに「巻」→「ぺージ」を選択します。HTMLとPDFを選べます。
 私もあまり詳しく調べていませんが、中国の字書では、説文解字(大徐本)・説文解字注・集韻・玉篇・康煕字典は見ることができました。正字通・正韻は撮影未了でした。また、甲骨文の古典籍も未了でした。撮影の進捗を期待したいです。
 難点は、まず画像があるかどうか、少し操作しないとわからないこと。さらに、画像があっても、自分の見たい部分を探し出すのが大変なこと。現物の目次などを参照し、このあたりと目星をつけた部分を開いて確認する必要があるようです。調べ物をするには根気がいります。次項の「おまけ」を利用するのも良いと思います。
 著作権や使用制限については何も書かれておらず、ということは自由に使ってもよいのだと思いますが、よくわかりません。
 同様のサイトに、「国立国会図書館デジタルコレクション」 があります。これはまだ私も使っていないのですが、早稲田のものとどちらが便利か、使い比べてみたいと思います。

おまけ 古典籍のデジタルデータ … 中國哲學書電子化計劃
 論語・史記・説文解字をはじめ、中国の古典籍を多数デジタルテキスト化して提供してくれるサイトです。英国出身・米国在住の学者が作っているそうで、ネイティブでない人がこれだけの仕事をできるとは驚きです。
 中国語(繁体字)ですが、説明部分は英語版にも切り替えられます。
 画像データとして引用するわけではありませんが、何しろ検索ができるので、例えば「棄」という字が「廣韻」のどのあたりに載っているかを調べることができ、それをもとに上記4のサイトから画像を探し出す、という使い方もできます。
 もちろん、画像以外でも、文献の調べものをするには重宝なサイトです。
 「説文解字」はあっても「説文解字注」は無いなと思っていたら、ちゃんとありました。「説文解字」の目次が出ている画面で、右側メニューの「相関原典」に「説文解字注」や「説文解字繋伝」があり、クリックすると目次が出ます。さらにその右側にある「版本」という欄をクリックすると、全文検索のボックスが表示されます。
 なお、付属の「電子圖書館」では、多くの古文書の画像を見ることができます。

 とりあえずの情報は以上ですが、今後もいいものが見つかれば掲載するつもりです。